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A Day On The Planet

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カフカの城

『善き人のためのソナタ』や『わが教え子、ヒトラー』で好きになったミューエが演じる作品を

探していて辿り着いた作品。1997年の映画であり、当たり前だが、さすがに上記2作に比べると

ミューエは若いなぁと実感。でも、あの射抜くかのような眼はやはり印象的だ。

そんなミューエありきで観たので、カフカの原作小説は知らない。

 

まず、なかなか謎の満ちたストーリーにはなぜか惹き込まれてしまった。

主人公Kが何が何でも辿り着きたい城には結局作中では実体が描かれないまま、未完の話として終わる。

村の住人に翻弄され、村や城の世界が理解しえないところはK同様、観ていてじれったくもある。

測量という仕事はもう関係なく、こうなったら城そのものに迫りたいと思いたくなったのは、

まさにKと同じなのかもしれない。

 

 

■『DAS SCHLOB(原題)』(1997,オーストリア/ドイツ)

| 映画(洋画) | 12:37 | comments(0) | - |
ティエリー・トグルドーの憂鬱

明るい映画よりかは暗めの映画、軽めの映画よりかは重々しい映画の方が好きな自分だが、

久々に、見た後も煮え切らない、何とも言えない苦々しさのある映画を観た。

 

リストラで解く前職を失った中年の男が、再就職した先の仕事でジレンマを抱えるという物語。

どこかやつれた感じの主人公、再就職がなかなか決まらないまま、映画の半分が終わってしまう。

ようやく決まった再就職先は、技術系の前職とはまったく関係ないスーパーの万引きGメン(監視役)。

(どういう経緯でこの仕事に就こうとしたのかは描写がないので、疑問が湧いてくるのだけれども)

買い物客だけに監視の眼を光らせるだけでなく、それは同僚である従業員にも向けられる。

そんな中で、同僚2人の業務上の不正行為を暴き、問い質す場面に関わることになる主人公。

不正行為には容赦ない対応が待ち受ける。素直に認めず言い訳を繰り返す従業員も苦しいが。。。

これも仕事、自分は自分の責務を全うしているだけと割り切ればいいのだろうが、彼にはそれができない。

彼が最後に見せる無言の行動が、この映画のハイライトといえるだろうか。

 

特に展開に盛り上がりはなく、話の展開を説明するナレーションもなく、ほぼ音楽もない

どこにでもいそうな中年男の日常とその苦悩を切り取って見せたという感じがする。

失職した中年男性の抱えるキャリア上の問題とその苦悩というのも今の時代、何も珍しいものではないし。

話の合間あいまに家族とのシーンが挿入される。仕事を巡る彼と家庭での彼が対照的でもあるが、

家庭を守るために仕事は選べない、割り切るしかないが、そこにも苦しみがあるという構図を見せつけられる。

 

・・・と、まったくすっきりとした話でもなく、展開が好転することもなく、

このご時世、自分の周囲にもありそうな現実をまじまじと見せられるので、大変どんよりした気分になる。

 

■『LA LOI DU MARCHE(原題)』(2015,フランス)

 

| 映画(洋画) | 22:25 | comments(0) | - |
舟を編む

しをんさんの原作小説、だいぶ昔に読んで、映画もいつか観たいなぁと思っていた。

物語の細部はけっこう忘れてしまった今頃になって、映画を観た。

 

映画は、とっても物静かで、割と淡々とした描き方だなぁと思った。

小説は主人公・馬締の視線になっていることが多く、彼自身の感情も文字になっていた。

映画はもう少し引け目に、俯瞰しているような感じだが、終始静かで抑揚のない、でも

内に秘めた熱いものを随所に見せるという描写が馬締自身の内面をよく表しているなぁと。

原作では馬締とかぐやさんの恋物語や、馬締によって辞書づくりに熱くなっていく西岡の変化など

辞書編纂以外でも見逃せないサイドストーリーがたくさん詰め込まれていたが、映画は

そういう要素をけっこう除いて、『大渡海』づくりに人生を懸ける馬締たちの地道な努力がピックアップされる。

地味で根気のいる仕事が個人的に好きだからか、あぁこういう仕事やってみたいなぁと変な憧れがある。

いかにもという仕事場や早雲荘の雰囲気がまたいい。ああいうとこでああいう仕事に没頭したら、案外幸せかも。。。

 

馬締を松田龍平が演じるが、えっそこまで?!という不器用さがたまらない。意外とはまっている。

前任者の荒木を演じるのは小林薫。こういう役所はぴかいちですね。いい味が出ている。

賑やかな『大渡海』出版記念イベントで、2人だけの静かなやりとりがとても印象的。

 

 

■『舟を編む』(2013年)

 監督:石井裕也

 

| 映画(邦画) | 23:40 | comments(0) | - |
ユー・ガット・メール

大学生の頃に好きだった映画を10数年ぶりに観た。

 

はじめて観た頃は、まさに作中の時代そのまま、メールやチャット全盛の頃で

文通じゃないけど、見知らぬ相手とメールで恋するワクワク感に憧れたものですが。

実はビジネス敵の2人が、そうとは知らず、メール上で恋心を温めていく。

そんな、ある種の王道のような、ラブコメ要素も十分な物語が個人的に好きだった。

 

今はSNS全盛。ますますリアルタイムになって、かつ、オン・オフラインの境が薄れたかのような今、

改めて観ると、いやぁ時代の流れを感じますねー。あのダイアルアップ回線とか懐かしい(笑)。

でも、やっぱメールというシンプルさがいいなって思う。今じゃ味わえないものがある。

 

ストーリーの流れも薄ぼんやりとしか憶えてなくて、お互い素性が分かるのは本当にラストで

びっくりだけどハッピーエンドみたいな感じに記憶の中で書き換えられていたのですが、

ジョーは案外早い段階で、キャスリーンが憎っくきビジネス敵だって気づいてしまってたんですね。

当のキャスリーンは、ジョーが風邪のお見舞いに自宅に来た時のやりとりで、相手の素性に

気づいていたのかな・・・もしかして、そうなのかも?!という感じでいたっぽいけど。

ラスト直前の、お互いの正体が分かっておきながら、葛藤を抱えたり探り合いしているのがいい。

 

この映画のメグ・ライアンがとにかく可愛すぎる、所作とか表情とか。

キャラは今の自分とほぼ変わらない年齢設定と思われるけど、そうは感じさせない。

ストーリーに憧れて、とか書いたけど、彼女の可愛さでこの映画を好きになったようなもんですね。

トムハンクス特有の豊かな表情(顔芸?)やら所作もあって、お互いのキャラが引き立っています。

 

舞台のNYの街並み、秋、冬、春という、ストーリーの流れに沿うかような季節設定も

この映画の好きなところ。劇中に出てくるジョニ・ミッチェルや主題歌を担当したキャロル・キングが

自分の好きなアーティストでもあるので、劇中音楽のチョイスも凄く好みです。

もうあまり観なくなった恋愛系映画ですが、やっぱ何から何まで自分好みという映画だなぁと改めて。

 

 

■『You've Got Mail(原題)』(アメリカ,1998)

 監督:ノーラ・エフロン

 主演:トム・ハンクス、メグ・ライアン

| 映画(洋画) | 23:03 | comments(0) | - |
芙蓉の人

新田次郎がそろそろ読みたいなと思い、『富士山頂』以来の3作目として手にした小説。

 

初の富士山頂での越冬気象観測を敢行した野中至夫妻の実話をもとにしている。

富士山レーダー設置の逸話は同氏の小説やプロジェクトXで知っていたが、

それよりずっと以前の明治後期に野中夫妻の挑戦があったことを恥ずかしながらこの小説を通じて初めて知った。

 

小説は特に妻・千代子の動き・視点を軸に描かれている。

この挑戦そのものがいかに当時冒険的で危険なものであったかはもちろんであるが、

特に千代子の意思や行動そのものが、当時の女性観からしていかに並外れたものだったかが際立つ。

小説前半は千代子と周囲の人たちとのやり取りが会話を主体に描かれており、それをひしひしと感じる。

 

後半、夫妻そろっての富士山頂の観測生活の場面になると、むしろ淡々とした描写になっていくが、

それがかえって、過酷な環境の中で想像を絶する苦難を体験しながら何があっても越冬観測を完遂せんとする

夫妻の、なみなみならぬ信念が読む側を圧倒するように伝わってくる。

 

最終的には体調悪化により下山という展開だが、観測小屋に居続けるも退くも、

どちらも夫妻にとって堪え難い地獄であったことを思うと、下山する前後の場面は読んでいても辛い。

下山後も初志貫徹しようと挑戦の歩みを止めない夫婦の姿が描かれて物語は終わりを迎える。

初めて知る夫婦の意思、それを実現しようとした強固な行動力に対して、敬意を持たずにいられない。

野中夫妻の物語を知ることができて、とても良かった。

 

ところどころ、当時の時代背景描写、特に日清日露の両戦争をめぐるものが挿入されている。

国もその存亡と威信をかけて国際情勢を乗り切ろうとする時代。その動きと野中夫妻の挑戦が

うまくシンクロすることで、夫妻にとって挑戦の意味するところを、より凄みをもって感じることができる。

 

短い小説ながら重厚感があるところ、でも読みやすい文章は、やはり新田次郎のいいところです。

 

| 読本(小説) | 00:16 | comments(0) | - |